民間企業のドローン講習会に参加した筆者が
ドローンの説明と飛行にあたって必要な準備を紹介します。
これを確認すれば
飛行の目的別にどのような申請が必要か
はたまた申請せずに済む飛行であるのかを把握することができます。
こちらの情報は2024/01/01現在のものとなります。
それではどうぞ。
無人航空機(ドローン)とは
航空法で定められる無人航空機は「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作または、自動操縦により飛行させることができるものである。ただし機体本体の重量とバッテリーの重量合計100g未満のものを除く」と定義されている。
無人航空機の中のドローンと呼ばれるものは、GPSなどの利用により自律飛行が可能なものをいいます。
機体(バッテリー重量を含む)の総重量が100 g未満は申請不要
一般的にトイドローンを飛ばれる、100g未満の無人航空機は、航空法施行規則より、無人航空機から除外されます。
そのため航空法における機体登録等の各種申請は不要となります。
しかし、民法などその他法律および条例に触れる行為は禁止となるので注意が必要です。
例えば、空港周辺、緊急用務空域、150m以上の空域では、飛行禁止です。
機体の総重量が100 g以上は各種申請が必要
〇無人航空機登録制度
ドローン登録システムDIPS2.0による無人航空機の機体登録申請の義務が制度化されています。
屋外で飛行させる際は、事前に国土交通省に機体登録を行うことが義務化されており、登録申請後は機体に登録番号を表示しなければなりません。
申請の有効期限は、3年間。
登録申請には、手数料が発生します。
登録に必要な個人情報 | 費用 | 有効期限 |
マイナンバーカード登録 | 900円/1台 | 3年間 |
運転免許証・パスポート登録 | 1450円/1台 | 3年間 |
本人確認書類の郵送 | 2400円/1台 | 3年間 |
〇リモートID機能の搭載(内蔵されていない場合は外付けの義務)
ドローンを屋外で飛行させる場合、リモートIDで発信を行うことは義務化されております(屋内では免除)。
ドローン購入時には、リモートID機能が内蔵されている製品を選択することを強くおすすめいたします。
リモートID機能が内蔵されていない商品を購入した場合は、外付けするリモートIDを購入しましょう。
航空法:緊急用務空域の確認義務(特定飛行の1つ)
ドローンを飛行させる直前に現時点が緊急用務空域となっていないか確認する義務があります。
緊急用務空域は、災害時などに、原則飛行禁止となる空域のことであるため、突然指定されることもあります。
そのため、飛行直前に、「航空局ホームページ」や「航空局無人航空機X(旧Twitter)」で確認を行う必要があるので注意しましょう。
また、無人航空機の対象外である、100g未満のトイドローンであっても、緊急用務空域は、飛行が禁止となります。
概要について
pr20210510_cabksj_01.pdf (mlit.go.jp)緊急用務空域の確認用リンク
航空安全:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール – 国土交通省 (mlit.go.jp)
航空法:特定飛行実施の場合、国土交通省へ許可申請義務
特定飛行を行う場合、国土交通省へ許可申請し、承認を得なければなりません。
特定飛行の空域は、以下の8つです。
- 空港周辺の飛行(トイドローンも承認が必要)
- 緊急用務空域の飛行(トイドローンも承認が必要)
例外として、災害やインフラ点検・保守であれば、国土交通省の許可が下りたとき、飛行が可能。 - 地表または水面から150m以上の上空の飛行(トイドローンも承認が必要)
150m以上の空域は、ヘリコプターが飛行、250m以上の空域は、航空機が飛行するため、禁止。
しかし空域を管轄する管制機関との事前の調整が行われ、承認が得られれば、可能。 - DID(人口集中地区)の飛行
DIDとは、人口密度が4000(人/km^2)以上かつ、隣接した地域の国税庁さ自に5000人以上を有する地域を指します。完全性を確保し許可された場合は、飛行可能。 - 国の重要な施設の周辺の飛行
- 外国公館の周辺の飛行
- 防衛関係施設の周辺の飛行
- 原子力事業所の周辺の飛行
ドローンの飛行禁止空域と飛行空域を問わず遵守する必要があるルール
001303817.pdf (mlit.go.jp)
航空法:特定飛行の規制対象となる飛行方法
特定飛行には、空域と同じように規制対象となる飛行方法があります。
以下の6種の飛行を行う場合も特定飛行となるため、国土交通省へ許可申請し、承認を得なければなりません。
- 夜間での飛行
国立天文台発表の日の出から日没を除く時間帯が夜間です。避けましょう。 - 目視外飛行
双眼鏡、FPV、モニター監視は目視外なので注意しましょう。 - 第三者や物件、車両との間に30m以上の距離の確保
例えば公園で飛行させる場合、ベンチに座っている人や、駐車場の車両から距離を確保しましょう。
ただし飛行前に第三者へ飛行させることに対して、許可を得ると、第三者から当事者に変えることが可能。 - 催し場所での飛行禁止
法律に明示されている、多人数が集まる催し場所とは、祭典や縁日、展示会、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外コンサート町内会の盆踊り大会、デモ等です。
自然発生的な、信号待ちの混雑による集まりの場合は、催し場所に該当しないとされています。 - 危険物輸送の禁止(農薬散布も含む)
一般的に、航空機に持ち込めないものを危険物と定義されているので、注意してください。 - 物件投下の禁止
ドローンに取り付けたものを切り離す行為が禁止。
機体がバランスを崩し、適切な制御に支障をきたすとされるためです。
ドローンの飛行禁止空域と飛行空域を問わず遵守する必要があるルール
001303817.pdf (mlit.go.jp)
航空法:無人航空機の操縦者が遵守する特定飛行時の運行ルール
特定飛行時の運行ルールは、以下の2種を指します。
- 飛行計画の通報
- 飛行日誌の携行及び記載
航空法:無人航空機の操縦者が遵守する運行ルール
無人航空機の操縦時の運行ルールは、以下の6種です。
- アルコールまたは、薬物の影響下での飛行の禁止
アルコール濃度の程度は関係なく、飲酒時の飛行は禁止です。 - 飛行前周辺環境確認
周辺環境とは、「気象情報や障害物・人・車両・他のドローン等の接近」と「機体の外部及び作動点検」のこと。飛行前に、確認しましょう。 - 衝突の予防のため、回避行動を行うこと
他の航空機が近づいてきた場合、地上に降下させましょう。 - 危険な飛行
- 使用者の整備及び改造
- 事故・重大インシデントの場合の措置を行うこと。
事故が発生した場合、直ちに飛行を注意すること。
負傷者がいる場合、救護と警察への通報。
火災が発生している場合は、消防への通報措置を講じましょう。
そして、事故発生の日時及び、場所を国土交通省へ報告する義務があります。
物件の損壊の場合は、すべての損傷が対象なので、注意してください。
重大インシデントとは、事故が発生する恐れがあると認める事態も含まれます。
例えば、実際事故が起きなくても、他のドローンと接触しかけた場合や、重症でない第三者の負傷も報告する義務があります。
航空法:ルールを順守しなかった場合の罰則
以下にルールを順守しなかった場合の罰則がまとめられておりますので、確認してみてください。
航空法の違反行為 | 罰則 |
事故が発生した時、負傷者の救護を怠り、必要な措置を講じなかったとき | 100万円以下の罰金または、2年以下の懲役 |
機体登録していない無人航空機を屋外で飛行させたとき | 50万円以下の罰金または、1年以下の懲役 |
アルコールまたは、薬物の影響下で無人航空機を飛行させたとき | 30万円以下の罰金または、1年以下の懲役 |
登録記号の表示または、リモートIDを搭載せず飛行させたとき 飛行の区域や方法に違反して飛行した場合 飛行前確認を怠った場合。 航空機または、他の無人航空機との衝突防止をしなかった場合 危険な飛行を行ったとき 機体認証で指定された使用条件の範囲を超えて特定飛行を行った場合 | 50万円以下の罰金 |
飛行計画を通報せずに特定飛行した場合 事故発生時に報告しなかった場合 事故発生時に虚偽の報告をした場合 | 30万円以下の罰金 |
技能証明を携帯せずに特定飛行を行った場合 飛行日誌を備えずに特定飛行を行った場合 飛行日誌に記載せず、または虚偽の記載をしたとき | 10万円以下の罰金 |
航空法:航空法の適用外の場所
- 屋内(四方+上空が囲まれた空間)
窓や扉があいており、ドローンが外に出ていく環境がある場合は、航空法に適用されるので注意しましょう。
航空法:航空法の適用外となる飛行方法
- ひもで30m以内で係留する場合
- 飛行可能な範囲内への第三者立ち入り管理をする場合
航空法以外:小型無人機等飛行禁止法
小型無人機等飛行禁止法は、2016年4/7に議員立法により、施行されました。
この法律は、国会議事堂、首相官邸、危機管理行政機関、最高裁判所庁舎、政党事務所、外国公館、防衛関係施設、原子力事業所、主要空港などの重要施設が対象で、「対象施設の敷地及び周囲おおむね300mの上空」が飛行禁止です。
この法令では、100g未満の機体も含まれているので注意してください。
違反した場合、最高50万円の罰金が科せられ、場合によっては、1年以下の懲役がつくことがあります。
上記で述べた法律以外に考慮しないといけない法令は、「道路交通法・電波法・民法・刑法・産廃法・個人情報保護・条例・外為法」ですので確認していきましょう。
航空法以外:道路交通法
道路の上空を無人航空機が飛行する行為は、道路使用許可を原則必要としません。
しかし、周りの人に迷惑をかける飛行は禁止となるので、節度を持って飛行を楽しみましょう。
飛行行為が道路における危険を生じさせる場合、
交通の妨害となるおそれのある場合、
無人航空機を利用して、道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような撮影等を行おうとする場合、
については道路使用許可の確認が必要になります。
また原則として、第三者の上空で無人航空機を飛行させないこと。
飛行形態に応じて、無人航空機の飛行経路の直下及びその周辺に第三者が立ち入らないようにすること。
注意喚起するための補助者を配置すること。
無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置すること
安全を確保するために必要な体制を構築することとされており、やむを得ず第三者の上空で飛行させる場合には、追加的な安全対策を講じることとされている。
詳しい内容は、引用ページを確認してくださいね。
https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20210630-1.pdf
無人航空機に係る道路使用許可の取扱いについて(通達)
航空法以外:電波法
ドローンの操縦や、撮影画像および映像の伝送のために、電波を発射する無線設備が利用されています。
無線設備を日本国内で使用する場合は、電波法令に基づき、無線局の免許を受ける必要があります。
基本的にドローンの電波は2.4GHz帯が使用されているため、許可申請は不要です。
レーシング用に使われるドローンの場合、5.7GHz帯が使用されるので、アマチュア無線免許4級の資格が必要となります。自身のドローンが許可申請の不要な機体であるかを確認する必要があります。
電波法に違反するケース
免許が必要な周波数帯のドローンを無免許無資格で使用した場合
技適マークのないドローンを使用した場合
違反した場合、 1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。
ドローン等に用いられる無線設備について
無人航空機等における携帯電話等の端末の利用総務省 電波利用ホームページ|その他|無人航空機等における携帯電話等の端末の利用
航空法以外:民法
主に民法207条「土地所有権の範囲」において、注意する必要があります。
誰かが所有している土地の権利は、土地の上空から地下まで及びます。
明記されておりませんが、300m上空まで有効と考えられています。
空き地、住宅、神社、線路、山林等、すべてが私有地に該当します。
飛行させる場合は、トラブルにならないようあらかじめ権利者に承諾を得るようにしましょう。
首相官邸ホームページ
航空法以外:個人情報保護法
ドローンにおける撮影映像に映る表札の氏名や車両のナンバーはプライバシー保護の対象となります。
他にも屋内の様子、洗濯物、その他生活状況を推測できるような私物が映り込んでいる場合にも、
内容や写り方によっては、プライバシーとして法的保護の対象となる可能性がある。
したがって、住居地にカメラを向けないようにするなど撮影対象に配慮し、
仮に写り込んでしまった場合、ぼかし処理を施すなどの措置を取らなければ、プライバシー侵害となる恐れがあります。
なお、具体的なプライバシー侵害の有無と程度は、個々の写真の内容や写り方によって異なるため、一概には言えないとされています。
「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン
航空法以外:外為法
ドローンのみ海外へ輸出場合は「外為法」という法規制があります。
飛行に関連する法律ではないため、ほとんどの方は無視しても良いと思います。
そもそも外為法とは「外国為替及び外国貿易法」であるため、資金や財(モノ)・サービス・技術(プログラム含む)の海外への移動などの際に適用される法律です。
ドローンを海外へ輸出する際の許可申請先は、経済産業省になります。
もし、輸出する場合は、外為法を遵守するようにしてください。
外為法;安全保障貿易管理安全保障貿易管理**Export Control*安全保障貿易の概要
航空法以外:産廃法
ドローンは一般廃棄物でなく、産業廃棄物に区分されます。
廃棄を考えている方は、自身の住む市町村の規制に合わせた処理を
おこなう必要があります。
機体をロストした時も同様で、放置厳禁です。
空港事務所、警察に必ず報告してください。
機体を放置すると、リチウムイオンバッテリーのからの発火が
二次災害につながる可能性があるからです。
適切な処理を行わない場合、最異形廃棄物法医違反となるため注意してくださいね。
航空法以外:刑法
ドローンを操縦している際、
過失によって
他人を怪我させてしまった場合
公共の鉄道や船舶の行き来に危険を与えた場合
刑法に適用されます。
こちらも知らないでは済まされない法律ですので、注意してくださいね。